【Z・CD特別情報 17】
ストラヴィンスキーの「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」
~楽器の百貨店・追悼・ブーレーズの演奏~
私がピエール・ブーレーズの指揮に初めて接したのは、ウエーベルン・コンプリト・エディションであった。2000年、ブーレーズ75歳の時で2度目の録音であった。
作曲家としてブーレーズの知名度は指揮者としてよりはるかに上であったが、あのブーレーズがウエーベルンの作品を指揮することに大きな期待があった。なぜなら、それまでのウエーベルンの演奏はろくなものがなく、明らかにウエーベルンの評価を芳しいものとはしていなかった。そこでブーレーズの演奏は、ウエーベルンのこれまでをはるかにしのぐ解釈と演奏で、さすがブーレーズと思わせる指揮者としての才能を感じるものであった。
次にブーレーズの指揮にふれたのはストラヴィンスキーの「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」で今日では定番の演奏となっている。
あのブーレーズが2016年1月5日、居住するドイツ西部バーデンバーデン90歳で死去した.20世紀を代表する偉大な作曲家、指揮者であった。
そこで、ストラヴィンスキーの「火の鳥」(Blu-spec CD)「ペトルーシュカ」「春の祭典」(BS CD2)を再び聴きなおしてみることにした。
ストラヴィンスキーの「火の鳥」(Blu-spec CD)
ストラヴィンスキーの作品は大編成のものがかなりある。
4管編成のオーケストラになれば、ダイナミック・レンジはオーケストラの最大音量は120dbを超えるものにはなるであろう。
NHKで音楽放送をしていた私たちは、最大120dbの音楽を55db程度までにコンプレッスするために、コンプレッサーを使用せず、音楽全体のバランスを崩さないで、録音・放送しなければならない。いわば、人間コンプレッサー・イコール・音声ディレクターの仕事である。
CDの場合の録音でもデジタル録音とはいえ120dbをそのままのダイナミッッ・レンジで録音することはないと推測する。
録音において「ダイナミック・レンジ」は広く、グランカッサ(大太鼓)の音はウーファーの存在感をいやがうえにも主張されるストラヴィンスキーの「火の鳥」の演奏。このようなダイナミック・レンジの広い録音では、歪み感が問題になるがこのCDにそれはない。
さて『火の鳥』はダイナミック・レンジが広い分だけ、イントロのレヴェルは低い。このレヴェルを聴こえるように設定し、これを基準に再生できれば問題ない。私のオーディオでは残念ながら難しい。つまり、低レヴェルでの解像度がいまいちなのである.だからどのレヴェルに設定して聴くかは問題である。通常はボリュウムを9時のあたりに設定すればどのCDも問題なく聴く事ができる。
『火の鳥』では11時に設定するが、これだと全体的にオーバー・レベルになる。
「スピーカーの能率・解像度」、「アンプの再生能力」などいろいろ原因は考えられるが、私は技術者ではないので.確かな答えは難しい。
このCD はスピーカーの能率テストには使えそうな気がする。
『火の鳥』は、ストラヴィンスキーが作曲したロシアの民話に基づく1幕2場のバレエ音楽、およびそれに基づくバレエ作品。
オリジナルのバレエ音楽と3種類の「組曲」があり、オーケストレーションが大幅に異なる。組曲版では一部曲名が異なる部分もある。
●1 全曲版(1910年版)、組曲(1911年版)
基本的には同じだが、それでもなおオーケストラの規模はほぼ4管編成とか なり大きい。
●2 組曲(1919年版)
一般的な二管編成になり、打楽器が減らされている。●3 組曲(1945年版)
編成は、現在出版されているスコアでは1919年版とほぼ同一である。相違点は、スネアドラムが追加されていることと、イングリッシュ・ホルンのソロをオーボエに置き換えていること。編成は1919年版とほぼ同一。
演奏はニューヨーク・フィルハーモニック(英語: New York Philharmonic)。アメリカのニューヨークを本拠に活動しているオーケストラである。「アメリカ5大オーケストラ( シカゴ交響楽団・ボストン交響楽団・フィラデルフィア管弦楽団・クリーヴランド管弦楽団・ニューヨーク・フィルハーモニック)と言われるオーケストラのひとつであるが、これは一般論で、時代によりアメリカの5大オーケストラの定義は異なる。
ニューヨーク・フィルハーモニックはニューヨークで唯一、常設されたコンサートオーケストラである。ロンドン、ベルリン、東京など多数のオーケストラがあるのにくらべて、ニューヨークで一つというのは極端に少ない。
その長い歴史の中で必ずしも常に最高の演奏水準を保ってきたわけではないが、伝統的に特に管楽器に名手を多く擁し、幅広いレパートリーに対応できる柔軟性を誇っている。
他のアメリカの主要オーケストラ(たとえば、オーマンディやストコフスキーとフィラデルフィア、セルとクリーヴランド、ショルティとシカゴ、クーセヴィツキー、小澤征爾やミュンシュとボストン)に比べると、特定の指揮者との長期間の結び付きは、ニューヨーク・フィルにはない。
1969年にバーンスタインが音楽監督を辞任した後、人選は難航したが、ジョージ・セルが音楽顧問としてつなぎ、1971年から作曲家として名高いピエール・ブーレーズが常任指揮者となった。ブーレーズは徹底してオーケストラを鍛え直し、合奏精度を著しく高めた。
その後、1977年からズービン・メータが音楽監督に就任した。ロサンジェルス・フィルハーモニックを躍進させた手腕に期待が集まったが、今一つその期待に応えきれなかった感は残る。
本拠地が豊かな残響のカーネギー・ホールから音響の悪いエイヴリー・フィッシャー・ホール(リンカーン・センターの中にある。2015年にはディヴィッド・ゲフィン・ホールと改名された)に移ったせいもあり、バーンスタインが音楽監督を退いてからはかつての名声を勝ち得ていないのが現状である。2004年には本拠地をカーネギー・ホールへ戻そうという動きが具体化していたが、スポンサーの関係で移転は不可能となった。
世界的なCD不況の影響で録音が少なかったが、2005年-2006年のシーズンから、ドイツ・グラモフォンと提携してライヴ録音のインターネット配信(iTunes)を開始した。オーケストラによる新しい音楽媒体の利用法として注目される。
音楽監督・常任指揮者等
セオドア・アイスフェルト(1849-1854) カール・バーグマン(1855-1856) セオドア・トーマス(1879-1891) アントン・ザイドル(1891-1898) エミール・パウアー(1898-1902) ウォルター・ダムロッシュ(1902-1903) ワシーリー・サフォーノフ(1906-1909) グスタフ・マーラー(1909-1911) ジョセフ・ストランスキー(1911-1923) ヴィレム・ヴァン・ホーフストラーテン(1922) ウィレム・メンゲルベルク (1922-1930) イグナーツ・ワーグハルター(1924-1925) アルトゥーロ・トスカニーニ(1928-1936) ジョン・バルビローリ(1936-1941) アルトゥール・ロジンスキー(1943-1947) ブルーノ・ワルター(1947-1949) 音楽顧問 レオポルド・ストコフスキー(1949-1950) ディミトリ・ミトロプーロス(1949-1958) レナード・バーンスタイン (1957-1969) ジョージ・セル(1969-1970) 音楽顧問 ピエール・ブーレーズ (1971-1977)
ストラヴィンスキーの「火の鳥」
「火の鳥」はセルゲイ・ディアギレフの依頼によって作曲された。ディアギレフは1910年のシーズン向けの新作として、この「火の鳥」の題材によるバレエの上演を思いつき、一人の若手作曲家、ストラヴィンスキーのことを思い出した。
ディアギレフは、ストラヴィンスキーに作曲を依頼した上で、ミハイル・フォーキンにストラヴィンスキーと相談しながら台本を作成するよう指示した。
フォーキンは指示通りストラヴィンスキーと相談しつつ台本を仕上げ、並行して作曲していたストラヴィンスキーも脱稿した。
ストラヴィンスキー:「春の祭典」(クリーヴランド管弦楽団)「ペトルーシュカ」(ニューヨーク・フィルハーモニック) ピエール・ブーレーズ 指揮クリーヴランド管弦楽団は、アメリカ合衆国のオハイオ州クリーヴランドを本拠地とするオーケストラ。
ジョージ・セルの20年以上に渡る音楽監督時代に、大幅な楽員入れ替えや猛烈なトレーニングにより、「セルの楽器」と呼ばれるほど空前絶後の精緻なアンサンブル能力を獲得し、それまでのアメリカの平凡な地方オーケストラの一つから、全米トップファイヴの一つに上りつめ、以来世界のトップオーケストラの一つとして評価される基礎を作った。
セルの没後、大幅に減少した定期会員を呼び戻し、華やかなソリストを連れてきたのがロリン・マゼールである。
マゼールの後任のクリストフ・フォン・ドホナーニはクリーヴランドに住居を構え、腰をすえて音楽監督の仕事にあたった。
歴代の音楽監督とともに残してきた膨大な録音点数に加えて、ウラディーミル・アシュケナージやオリヴァー・ナッセン、クルト・ザンデルリング、ヨエル・レヴィ、リッカルド・シャイー、マイケル・ティルソン・トーマスらとも録音活動に取り組んでいる。
「ペトルーシュカ」「春の祭典」(BS CD2)
DSDマスタリング
Blu-spec CD2
【収録情報】
ストラヴィンスキー:1. バレエ音楽『春の祭典』
2. バレエ音楽『ペトルーシュカ』(1911年原典版)クリーヴランド管弦楽団(1)
ニューヨーク・フィルハーモニック(2)
ピエール・ブーレーズ(指揮)録音時期:1969年(1)、1971年(2)
録音場所:クリーヴランド(1)、ニューヨーク(2)
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
録音は「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」ともBlu-spec となり、各楽器の演奏がよりクリアーとなっているが、ダイナミック・レンジが広い分、再生にひと工夫が必要であろう(前出)。演奏はプーレーズの緻密な解釈で、確かに定番といえるものである。
(演奏・録音)A
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