【Z・CD特別情報】


2016 初夏・増刊号
ピアノ作品集



~サティの音魂に心うたれて〜
録音時期:2016年




オルガ・シェプス/サティ:ピアノ作品集


http://tinyurl.com/hyg43vr


オルガ・シェプス/サティ:ピアノ作品集『ロシアン・アルバム~チャイコフスキー、ラフマニノフ、バラキレフ、ティトフ、他』の2枚の紹介。

どちらか1枚と思ったが2枚紹介せざるをえない。
それは性格の違いのある作品を彼女が弾き分けた演奏であるから。
特に、サティは日本人のピアニスト・高橋アキさん以来の名演ではないか。
ロシアン・アルバムはモスクワ生まれのシェプスの本領発揮のアルバム。

この2枚を増刊号として紹介する。


少々、ピアノの構造についての薀蓄を。
アップライトピアノ(縦型ピアノ)とグランドピアノの違いについて。大きな違いは縦と横。これは見ればわかる。しかし、この縦と横は、ハンマーが弦をたたく構造に大きな違いがあり、ピアノの音色に大きな違いがある。

簡単に言えば、アップライトピアノはハンマーが弦を一度たたくと、ハンマーは元の位置に戻ってしまう。ドアをノックした時、ノックする前の位置に手が戻るのと同じである。

これに対してグランドピアノのハンマーは、鍵盤から指を離さない限り、ハンマーは元の位置に戻ることなく途中で止まっている。
ハンマーの指を離さない限り、同じ音を連続してたたくことができる。

これは演奏家にとって音色を作る場合に、とても微妙な音色に関係する。ピアニストによって音色が違う一つの要因である。他にも要因はいくつも考えられる。しかし、鍵盤を離さない限り、ダンパー(弦を押さえて、響きを抑える機能)は弦に対して解放状態である。完全8度、完全5度の音程は特に共鳴する。少々、理屈っぽい話であるが、サティのような作曲家はこのような効果を作品の中に込めているように推測する。単純な音の連続である限りこの効果はてきめんである。

さて紹介のCDはエリック・サティ生誕150年記念リリース。
「音符を真珠のように輝かせる」「ピアノの詩人」などと評され、2015年の初来日で大きな話題を呼んだオルガ・シェプスの「RCA Red Seal」への最新録音は、今年(2016年)生誕150年(5月17日)をむかえるサティの最も有名なピアノ曲を収録した「サティ・アルバム」である。

サティは「音楽界の異端児」とされ、ドビュッシー、ラヴェルら印象派の作曲家にも大きな影響を与えた。我が国では、サティに匹敵する作曲家は武満徹のサウンドではないであろうか。
サティの作品は、演奏家によって秀作に愚作にもなる。とても微妙な音魂の連続である。

オルガ・シェプスはモスクワに生まれで、ケルン音楽院で名教師パーヴェル・ギリロフに学んだ才媛。
彼女の演奏は、パリのモンマルトルの丘をそよぐ「いっぺんのそよ風」のようなサウンドで、まるで〜サティの音魂に心うたれて〜しまいそうになる。



モンマルトルの丘から見た階段(筆者撮影)


【収録情報】

    1~6. グノシエンヌ(6曲) - 1890年

グノシエンヌ』(Gnossiennes)は、サティが1889年から1891年と1897年に作曲したピアノ曲。サティが24歳の時に作曲した第1番から第3番の3曲は「3つのグノシエンヌ」としても演奏される。


    7~11. 『真夏の夜の夢』のための5つのしかめ面 

    12~14. 3つのジムノペディ - 1888年

ジムノペディ』(Gymnopédies) は1888年に作曲されたピアノ独奏曲。特によく演奏される。
第1番から第3番までの3曲で構成され、それぞれに指示があり、

    ・第1番「ゆっくりと苦しみをもって」(Lent et douloureux)
    ・第2番「ゆっくりと悲しさをこめて」(Lent et triste)
    ・第3番「ゆっくりと厳粛に」(Lent et grave)

となっている。

    15. ジュ・トゥ・ヴー - 1900年

ジュ・トゥ・ヴー』(Je te veux)は、サティが1900年に作曲したシャンソン。歌詞はアンリ・パコーリによる。歌曲集 『ワルツと喫茶店の音楽』 のうちの1曲とされている。サティ自身によるピアノ独奏版もある。題名は日本語では「お前が欲しい」「あなたが大好き」など様々に訳されるが、原題のまま「ジュ・トゥ・ヴー」と呼ばれることも多い。
このアルバムでポピュラーな作品の一つ。

    16~18. 3つのサラバンド - 1887年

    19.やさしく

(ボーナス・トラック)

チリー・ゴンザレス(ジェイソン・チャールズ・ベック):作曲

    20. ジェントル・スレット

本名: ジェイソン・チャールズ・ベック。カナダ出身で現在は、パリを拠点に活動している。エレクトロ・ヒップホッパー、ピアニスト、プロデューサー、ソングライターと、多様な才能を発揮して活躍している。

カナダ時代は、無声映画にピアノで伴奏をつける仕事をしていた。ジェーン・バーキンのアルバム、「ランデ・ヴー」 をプロデュースしたことで、彼の名前は一躍メジャーで注目されることとなり、フランス ポピュラー音楽界の風雲児として、その才能を一気に開花させた。

2004年にソロアルバム 「ソロピアノ」を発表。エリック・サティーやラヴェルといった作曲家が思い浮かぶような、クラシカルな要素とジャズやカナダのフォークミュージックを感じさせる部分がゴンザレスの見事なピアニズムによって表現されたポスト・モダン・クラシックの名盤として多くの人に愛されている。

そして決定打は何といっても第50回グラミー賞にノミネートされた、ファイストの『レット・イット・ダイ』。「今、私の音楽は衣装のない裸の状態であり、そこには派手な色もなく鍵盤の白と黒がみえるだけだ」というわけで、ジャケットもその白と黒から生まれる音楽が、壁に映し出される影絵のようにイメージを展開させることを示した。中でも2007年年末にiPod nanoのCMで日本でも大きく話題となった「1,2,3,4」のプロデューサーでもある。

録音場所:ドイツ、マリエンミュンスター、コンツェルトザール
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)




ロシアン・アルバム~チャイコフスキー、ラフマニノフ、バラキレフ、ティトフ、他 
録音時期:2010年8月


http://tinyurl.com/j47gns2

オルガ・シェプス/ロシアン・アルバム

オルガが2010年にソニー・クラシカルに録音した2枚目のソロ・アルバムが、この『ロシアン・アルバム』。幼い頃からドイツで過ごしているオルガだが、彼女の心の故郷はロシアにあるにちがいない。
ラフマニノフをはじめ、リャードフやスクリャービン、グリンカなどロシア音楽の名品・佳品に潜む郷愁を繊細に、かつ力強く描き出す彼女の才能に驚くばかり。


【収録情報】

1. チャイコフスキー:ナタ・ワルツ Op.51-4
2. チャイコフスキー:感傷的なワルツ Op.51-6
3. グリンカ:マズルカの思い出
4. グリンカ&バラキレフ:ひばり
5.アレンスキー:森の小川 Op.36-15
6. バラキレフ:園にて(牧歌的練習曲)
7. ルビンシテイン:舟歌 Op.93-3
8. アレクセイ・ティトフ:ワルツ ホ短調
9. アレクセイ・ティトフ:ワルツ ハ長調
10.アレクセイ・ティトフ:ワルツ ト長調
11. スクリャービン:ワルツ 変イ長調 Op.38-4
12. ラフマニノフ:楽興の時 Op.16-4
13.ラフマニノフ:前奏曲 ニ長調 Op.23-4
14.ラフマニノフ:前奏曲 ト短調 Op.23-5
15.ラフマニノフ:前奏曲 変ト長調 Op.23-10
16. リャードフ:音楽の玉手箱 Op.32

録音場所:ベルリン、ブランデンブルク放送局小ホール
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)




以下、特にコメントはしないが、彼女の演奏に興味のある方のために参考として掲載する。


ピアノ作品集 

録音時期:2009年10月

http://tinyurl.com/gqoagrc

【収録情報】

ショパン:
1. 3つの新しいエチュード第1~3番
2. 練習曲第3番『別れの曲』 Op.10-3
3. 練習曲第12番 Op.25-12
4. マズルカ 第40番 Op.63-2
5. マズルカ 第41番 Op.63-3
6. バラード第1番 Op.23
7. 夜想曲 Op.posth
8. ワルツ第9番 Op.69-1
9. ワルツ第10番 Op.69-2
10. 夜想曲第8番 Op.27-2

録音場所:ベルリン、イエス・キリスト教会
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

11. 幻想曲 ヘ短調 Op.49

録音時期:2009年
録音場所:ルール・ピアノ音楽祭
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ


ピアノ作品集~ワルツ、舞曲集、他
録音時期:2012年4月11-13日


http://tinyurl.com/h8ddzff

【収録予定曲】
シューベルト:
1.ディアベリのワルツによる変奏曲ハ短調 D.718
2.12のワルツ D.145, Op.18より第2,10,6番
3.ハンガリー風のメロディ ロ短調 D.817
4.コティヨン変ホ長調 D.976
5.17のドイツ舞曲(レントラー) D.366より第1,3,4,5,12,17番
6.ギャロップとエコセーズ D.735, Op.49
7.即興曲変イ長調 D.935, Op.142より第2~4番
8.オリジナル舞曲(最初のワルツ) D.365, Op.9より第1,2,14番
9.12のワルツ(高雅なワルツ) D.969, Op.77
10.クッペルヴィーザー・ワルツ

 オルガ・シェプス(ピアノ)


録音場所:ベルリン、イエス・キリスト教会
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)



オルガ・シェプス/ショパン:ピアノ協奏曲集

録音時期:2013年9月

http://tinyurl.com/jkltnc7

1986年モスクワ生まれで、現在ドイツを拠点に活動しているオルガ・シェプスのソニー・クラシカルでの4枚目のアルバム。デビュー・アルバムでもシェプスと相性の良さを証明したショパン作品の第2弾。今回は2曲のピアノ協奏曲の弦楽合奏伴奏版である。

第1番はリヒャルト・ホフマンが編曲した弦楽五重奏による伴奏版をもとに、また第2番はスペインのマヨルカ島を活動の拠点としているイスラエルのベテラン・ピアニスト、イラン・ロゴフによるピアノ五重奏版をもとにして、それぞれ室内オーケストラ規模の弦楽合奏による伴奏という形で演奏。

【収録情報】

1. ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11

(弦楽合奏伴奏版/リヒャルト・ホフマン編曲による弦楽五重奏版に基づく)

2.ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調Op.21
(弦楽合奏伴奏版/イラン・ロゴフ編曲によるピアノ五重奏版に基づく)

オルガ・シェプス(ピアノ)
シュトゥットガルト室内管弦楽団
マティアス・フォレムニー(指揮)

録音場所:SWR放送スタジオ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)



ヴォカリーズ~ラフマニノフ、シューベルト、リスト、バッハ、他  
録音時期:2014年

http://tinyurl.com/hn4g8jc

 

【収録情報】

1.ショパン:夜想曲 ハ短調 Op.48-1
2. シューマン/リスト編:献呈
3. シューベルト:幻想曲ハ長調『さすらい人』 Op.15, D.760
4. グルック/ジョヴァンニ・ズガンバーティ編:メロディ(オルフェオ  とエウリディーチェ~精霊の踊り)
5. ブラームス:間奏曲 変ホ長調 Op.117-1
6. ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14
7. J.S.バッハ/アレクサンドル・ジロティ編:ソナタ 変ホ長調   BWV.1031~シチリアーノ
8. リスト:『愛の夢』第3番変イ長調 S.541

 オルガ・シェプス(ピアノ)

録音場所:ベルリン、イエス・キリスト教会
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

以上で オルガ・シェプスのCD紹介の初夏・増刊号はおしまい。

 

 

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http://tinyurl.com/qx6afjl


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