【Z・CD特別情報 12】
11人の名ピアニストによるリスト:ラ・カンパネッラ
〜あなたはどの演奏が好きですか〜
11人の名ピアニストによるリスト:ラ・カンパネッラ
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CDプレイヤーのプレイを押すと11人のピアニストのラ・カンパネッラが再生される。 おまけにパガニーニ〜クライスラー編のヴァイオリン版〜ユーディ・メニューインの原曲が演奏される。
さらにヴァイオリン協奏曲第2番作品7から第3楽章:ロンド「ラ・カンパネッラ」 これも演奏される。誰でも考えそうな企画だが、いざ制作するとなると面倒なことこのうえないであろう。各レーヴェルにまたがる演奏家のライセンスをとるだけでも大変である。
1~11 パガニーニ大練習曲S.141~第3曲 「ラ・カンパネッラ」
演奏家
1. アベイ・シモン
2. ジョルジュ・シフラ
3. ゲーザ・アンダ
4. レナード・ベリオ
5. アグスティン・アニュヴァス
6. セシル・ウーセ
7. ジョン・オグドン
8. 野島 稔
9. アンドレ・ワッツ
10. フランソワ・デュシャーブル
11. アンドレイ・ガヴリーロフ
以上(ピアノ )
《番外》
12. パガニーニ〜クライスラー編 「鐘」ロドニー・フレンド(ヴァイオリン)
ミハエル・イザドール(ピアノ)
《原曲》
パガニーニ
13 ヴァイオリン協奏曲第2番 作品7から第3楽章:ロンド「ラ・カンパネッラ」
ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)
アルベルト・エレーデ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリンが出てきてほっとするのではないだろうか。
このCDをきいているとリストのラ・カンパネッラにうなされる。
怖いものみたさの方以外、お勧めできません。(笑い)
ラ・カンパネッラが夢に出てきます、というのは冗談で各ピアニストが工夫をこらして演奏する「ラ・カンパネッラ」は、とても興味深く一枚のCDで聴く事ができる面白さがある。ピアノの録音に各種の方法があることにも気づかされる。
ピアノ作品が出てきたところで、ピアノの演奏者について蘊蓄をひとくさり。
ピアノという楽器は、基本的には10本の指で鍵盤をたたいて音を出す楽器である。体(体幹)を通じたエネルギーは指にたどり着き鍵盤をたたく。
クネクネとして背骨がまっすぐでなければ、指に力は伝わらない。
さも、音楽に酔っているかのごとく、体をくねらせるピアニストがいるが、頭が背骨の真上になければ、体の力は指に伝わらないどころか、まるでタコ踊りである。
体の中心線,体幹がまっすぐであることがピアノを弾く上での原則である。
さらに、背骨から、お尻を通じて床に向かう力、足の親指に力が届かなければ、十分な演奏はできない。
ここでエピソードをひとつ。
ミケランジェリがNHKホールで来日演奏会をしたとき、私は仕事で現場にいた。ミケランジェリは自分のピアノを空輸してきた。彼のピアノには空輸用の柱が2本ついていた。これは客席からは見えない。問題はピアノ自体ではない。彼は会場にあらわれると調律師に皮張りの椅子を指差して、「もっと低い椅子はないか」と訪ねた。
この調律師は杵淵さんといい、日本の調律師の草分け的な存在であった。彼の弟子からは多くの優れた調律師が育った。
杵淵さんは「これ以上低くなる椅子はない」と答えた。 しかし、ミケランジェリは納得しないばかりか、「足を切れ」といったのである。
私はどうなることかとみていたら、杵淵さんはノコギリで、皮張りの椅子の足を切り始めた。切り終わった椅子にミケランジェリは座って、私の顔を見て、右手の親指を上げてにこりと笑った。
このときのコンサートは、ミケランジェリが「左の親指」を負傷していて、練習時間に「左の親指」を使わないで当日の演奏曲目を練習するなど、波乱にみちたコンサートとなった。
「足を切った皮張りの椅子」 には満足したミケランジェリであったが、「左の親指」が負傷していたミケランジェリは「変え指」はあきらめて、通常の指使いで演奏した.演奏が終わり下手に退場するなり、明かりの下で「左の親指」をまじまじと眺めて、私の顔をみて今度は「しかめっ面」をして首を横に振った。
「足きり事件」といい、「左の親指事件」といい現場にいたのは私と杵淵さんの二人であった。杵淵さんは鬼籍に入られたので、このことを知っているのは、いまでは私ひとりである。ちなみに「足を切られた革張りの椅子」は杵淵調律師の家に保存されている。
ではなぜ「皮張りの椅子の足」を切らせたのか?
私はこの事件以来、著名なピアニストの椅子の低さが共通してことに気がついた。
その後、ポリーニが初来日し、厚生年金会館でコンサートをしたとき、やはり、椅子は異常に低かった。
椅子が高いと演奏する時「背骨は前に傾き」肩から肘・指に十分な力が伝わらない、「体幹が傾く」というのが私の結論である。
勿論、異論はあるだろう。しかし、体の力学からいって「高い椅子」と「低い椅子」とではどちらが合理的であるか、自明のことである。ミケランジェリは名演を残したが、「足きり事件」で本当の椅子の高さの合理性についても教えてくれた。
教えるのは譜面のミステイクである。こんな教師から優れたピアニストは生まれない。
日本のピアノ教師で椅子の高さを教える教師はいない。
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