【Z・CD特別情報 11】
長岡鉄男の外盤A級セレクション第二弾
~意外な選択・ブリテン/戦争レクイエム~
長岡鉄男(1926—2000)が外盤A級セレクションとして『ブリテンの戦争レクイエム』を選択したのは、かなり意外性がある。また外盤A級セレクションにはかなり、現代音楽が選ばれている。
私は『ウエーベルンから現代音楽まで』を研究し、作曲もしていたので、このような現代音楽を聴くことに違和感はないが。
65.メシアン:精霊降臨祭のミサ
67.ジョン・ケージ:易の音楽
69.ルトスワフスキ:織り込まれた言葉
70.クセナキス:ブサッファー
以上はほんの一部である。
こんな曲目はおそらく一度も聴いたことはないであろう。
多分クラシックファンでさえ聴くチャンスは全くない。
「空間その物を取りこもうというワンポイント・オフマイク録音」とか「SN比よく、Dレンジ無限大、アタック強烈、 トランジェント最高」など録音状態に関する視点からこの外盤を選択されたのではないだろうか。
演奏や作品論に関する記述はわづかである。
前回紹介した『名器の響き ヴァイオリンの歴史的名器』
No.10とは異なり、今回は『ブリテン/戦争レクイエム』を紹介する。
戦争レクイエム ベンジャミン・ブリテン
http://tinyurl.com/zw8w9py
演奏:ロンドン交響楽団、メロス・アンサンブル、プレストン(サイモン)
指揮:ブリテン(ベンジャミン)
ブリテンは(1913年――1976年 )は、イギリスの作曲家・指揮者・ピアニスト。
代表作としては オペラ 『ピーター・グライムズ』 や 『シンプル・シンフォニー』、『戦争レクイエム』、 バロック期の作曲家ヘンリー・パーセルの劇音楽 『アブデラザール』 からの主題を引用した 『青少年のための管弦楽入門』 が知られている。 『戦争レクイエム』(War Requiem) は、ベンジャミン・ブリテンの作曲したレクイエム(死者のためのミサ曲)である。ブリテンの代表作として筆頭に上げられる。戦後最大のレクイエムで彼の集大成とも言えるこの作品は、単に第二次世界大戦の犠牲者のためのレクイエムではなく、かと言って通常の教会音楽でもない。
この音楽を聴く手引きとして引用・掲載する。
長岡氏は「水を打ったような静けさのピアニシモと、怒涛のように押し寄せ爆発するフォルティシモ。ソロと、3組のコーラスとオーケストラとオルガンの重なりが充分な厚みと距離を持って再現され、音のうねりがわかるような録音だ。超低域はゼロではないがやや不足、しかし、グランカッサ(大太鼓)は力強く,弦は繊細、ソロは鮮明でソリッド、コーラスは人数がよくわかり、しかも薄っぺらにも、ヒステリックにもならず、優秀録音盤といえる。名曲、名演奏、名録音の貴重なレコードだ。なお、音からだけの想像だが、コーラスの衣装は全員、黒一色のように感じられる。あるいは照明が暗いのかもしれないが。」(共同通信社刊・135ページから引用)
『ブリテンはこの曲のスコア冒頭に次のような、詩人ウィルフレッド・オーウェンの一節を書き記している。
”私の主題は戦争であり、戦争の悲しみである。詩はその悲しみの中にある。詩人の為しうる全てとは、警告を与えることにある。 ”
この文は「戦争レクイエム」の持つ性格を端的に現しているだけでなく、戦争を二度と繰り返さない為の作者の深い祈りがこもっている。ブリテン自身平和主義者で第二次世界大戦の兵役を拒否してアメリカに滞在したために、戦後イギリスに戻っても英国王室から「サー」の称号を貰えなかった唯一の著名なイギリスの作曲家である』(wikipediaより引用)
長岡氏は「名曲・名演奏・名録音。コーラスの衣装の色まで創造してしまう音」と表現している。
私はこの『戦争レクイエム』の日本初演を聴いている。
読売日本交響楽団 ディビット・ウイルコックス指揮
1965年 東京文化会館 会場は満席であった。
録音から舞台の合唱団の衣装まで推測するというのは、初めて書かれた文章である。通常レクイエムで、コーラスの衣装は黒であるが、私は「それだけ音に集中した録音批評」と受け止める。とても特異でこのような録音批評を読んだことはない。
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